2025年度バングラデシュ国別研修

「ジェンダーに基づく暴力撤廃に向けた能力強化」研修
       NPO法人女性のスペース結 報告

〇研修趣旨
国際協力機構(JICA)からの委託を受け、ジェンダーに基づく暴力(GBV)対策に携わるバングラデシュ国内の関係者を対象とした研修を実施する。日本の行政や民間の取組の経験及び知見を踏まえつつ、被害者中心のアプローチに基づくGBVの予防や被害者の保護、自立・社会復帰、加害者処罰に向けた取組のあり方について理解を深め、バングラデシュ国内のプログラム実施への活用を促す。

〇主催は独立行政法人国際協力機構(JICA)、実施機関は独立行政法人国立女性教育会館(NWEC)、期間は2025年7月7日より7月25日まで、バングラデシュのコックスバザール県のGBV対応に関わる行政官及びNGO担当者等14名の研修員を迎え、その一環として、7月17日13時〜16時に中野区ユニバーサルデザイン推進担当課の協力を得て、中野区役所にて中野区の取組と、民間団体としての取組を紹介した。その後、結の本店であり、シェアハウスのある西山ガーデンハウスを見学していただいた。

2025年度バングラデシュ国別研修

〇報告

  1. 酒井中野区長より挨拶(表敬訪問)
    酒井中野区長より、バングラデシュ代表団に対して挨拶がなされた。中野区は多様性に富んだ区であり、ダイバーシティに関わる取り組みがなされていることが紹介され、その上で、バングラデシュ代表団と意見交換がなされることを、楽しみにしていることが伝えられた。
  2. バングラデシュ代表団より挨拶
    中野区、JICA、NWECをはじめとする本研修に関わる関係者に対して感謝の意が伝えられた。
  3. 写真撮影
    バングラデシュ代表団より、記念品が中野区に贈呈され、それを囲んで写真撮影がされた。
  4. 中野区ユニバーサルデザイン推進課大場課長より中野区の取り組みの紹介
    中野区内での女性支援の取り組み、啓発活動、法改正を受けた今後の取り組みに関する報告がなされた。
  5. 女性のスペース結からの報告(中村、松本、斎藤、田谷)
    初めに中村代表理事より、団体の設立背景、歴史、これまでの女性支援の取り組みを紹介し、設立当初の女性相談による支援、そこから見えてきた女性の状況を説明した。例えば、様々な暴力を受けたが、それを我慢しているケースなどを通して、暴力をなくさない限り、男女平等は実現しないと考えたことが話された。団体では、個人の問題の背景に、社会の問題があることを踏まえて、行政と連携して支援を展開していること、また被害者が落ち着くことができる場所を作るためにシェルターやステップハウスを運営し、自立のための支援を展開していることが話された。
    次に、松本・斎藤より、行政との連携とシェルター及びステップハウスでの支援の内容が紹介された。松本からはシェルター「まどかハウス」とステップハウス「マカロンハウス」の様子、居住支援で大切にしていること等を紹介した。次に、斎藤からは、中野で取り組んでいる子ども食堂の様子を紹介した。「子ども食堂ゆい」は地域の多様な人が利用でき、ひとつのコミュニティの場となっていること、また状況に応じて、相談に繋げることができるようにしていることが話された。
    また松本から、埼玉県での女性支援の取り組みである「さいたま・りぷろの家」という居場所をもうけ、電話やメールを通して女性の総合的な相談(DV、生きづらさ、ハラスメント、デートDV、虐待、人間関係等)を受けていることを伝えた。
    続けて、田谷より女性が相談できる場所を作る必要性が説明された。相談者である女性は、自身が抱える問題の背景に社会構造の問題があるにも関わらず、自分の問題と捉えて自身を責めてしまう傾向にあるが、自分を責める必要はないことに気が付くためには、気軽に相談をすることができる場所が必要であると伝えた。そのためにはやはり行政との連携が重要であること、例えば、行政に相談をすることは一定のハードルがあり、それほどではないと考えてしまうケースもあること、また日本のNPOは規模が小さいことから、相談できる場所を作るためには行政のバックアップ体制が必要であると話された。
    最後に、松本よりNPOの強みとして「柔軟な支援を展開できること」「自分たち独自の事業ができる」ことが上げられた一方で、弱みとして「規模が小さいこと」「経済的基盤がぜい弱であること」「スタッフはボランティア的に支援活動に関わらざるを得ないこと」があげられた。

2025年度バングラデシュ国別研修会場内

6.質疑応答

バングラデシュ代表団から結への質問

Q1.中野区が支援者連携で行っている会議の参加は誰か

A1.  実際に支援に係わる関係各所に加え、警察署、医師会なども参加している。

Q2. 一般的に再婚の状況、また再婚はコミュニティの中でどう思われているか

A2. 離婚した人が孤立・孤独などを感じ、紹介やSNSで再婚相手を探すといったケースはある。離婚と再婚を繰り返す人もいる。再婚のとらえ方は、地域によって異なる。

Q3.村での活動はある?(おそらく地方・田舎での活動のこと)

A3. 結の活動は、東京と埼玉県のみ。相談者の状況に応じて、別の自治体と連携をすることはある。

Q4. 日本に男女共同参画センターはいくつあるか

A4.350か所ある

Q5.  離婚において調停や裁判離婚が少ないのはなぜか?

A5. 早く離婚したいと考える人が多い、一方で落ち着いてから養育費の不払い等で調停になることもあり、結では調停離婚を勧める。

Q6. 離婚後の養育費はどうなっているのか

A6. 法律上は支払うことになっているが、支払われないことが多い。

Q7. 電話・メールでの相談では、どのような相談が来るか

A7. 内容は様々である。メールでは、気軽に相談することができるが、できれば電話をもらって話すような方向にいき、必要に応じて、面接・同行支援を行う。

Q8. DVや虐待等で加害者を訴えたい時に弁護士を雇うといった公的なサポートはあるか

A8.  法テラスなど、公的なサポートはある。

結からバングラデシュ代表団への質問

Q1. バングラデシュのNPOの規模はどれくらいか

A1. 国連の資金を活用、連携して事業を行っている団体もある。一方で、資金不足の問題を抱えている。これまでは、新しい施設の設置などをすることができたが、最近は既存の施設を使った支援をしている。

Q2. バングラデシュでDVがあったら、どのような支援があるのか

A2. 警察、NGO、家庭裁判所、ワンストップセンターなどがある。心理的支援から法的な支援がある。

Q3. 日本では虐待を見かけたら通報する義務があるが、バングラデシュはどうか

A3. 法律があり、通報する必要がある。また、サイバー犯罪に関わる法律でも、取り組みが定められている。

7. 西山ガーデンハウスの見学

中野区役所でのセッションの終了後、結の西山ガーデンハウスに移動して、施設の見学が行われた。実際に、子ども食堂等の行事やイベントを開催している共有スペース、シェアハウスの生活空間を見学してもらった。施設のオーナーであり、結の副代表である西山氏から施設の設立の背景、施設のコンセプトを説明した。西山ガーデンの緑が多く、心が落ち着く空間の中、終始リラックスした雰囲気で見学会が行われ、個別の質疑応答にはボランティアの通訳者が力を発揮してくれた。夏の暑い一日であったが、当団体にとってもこれだけ多くの外国籍の方々をお迎えするのは初めてのことであり、記念すべき国際交流の一日となった。下記は、スタッフが頑張って書いてくれた歓迎の言葉ベンガル語(バングラデシュの公用語)と、美しいサリーをまとった女性たちである。

西山ガーデンハウスの見学の様子
国際交流記念の集合写真