~配偶者暴力相談支援センターの現場から~
講師 東京通信大学 准教授 田谷 幸子氏

●歴史からの学び
1946年 39名の国会議員(戦後最初の衆議院議員選挙)
1971年 女子留学生の派遣
1985年 女子差別撤廃条約批准
1986年 男女雇用機会均等法成立
2001年 配偶者暴力(DV)防止法
2015年 女性活躍推進法
2015年 持続可能な開発目標(SDGs)
*5.ジェンダー平等を実現しよう
2022年 困難な問題を抱える女性への支援に関する
法律成立(2024年4月1日施行)
152年前から女性の地位向上、女性の権利、性差別の反対の声を上げてきたが、外圧によってしか、変化してこなかった。アンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)とは、自分自身は気づいていないものの見方やとらえ方のゆがみや偏見のこと。
●若年女性に関する調査
調査1,「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果」(内閣府男女共同参画局2022年)の調査によると、約4人に1人が何らかの性暴力被害にあっている。学校関係者(教職員、先輩、同級生など)、(元)交際相手、インターネットで知り合った人、知らない人を上げるケースが多い。性暴力被害をどこ(だれ)にも相談しないケースが半数を超える。相談できたケースでも相談までに時間を要することが多い。被害からの回復状況が芳しくない。
●リプロダクティブ・ヘルス/ライツ
「性と生殖に関する健康と権利」:生殖に関する自己決定権
人間の生殖システム、その機能と(活動)過程のすべての側面において、単に疾病、障害がないというばかりでなく、身体的、精神的、社会的に完全に良好な状態にあること
●生理の貧困
調査2,「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」 (厚生労働省健康局2022年)の調査によると、18・19歳、20歳以下で「入手に困難がある」の割合が他の年代より高い。衛生面で問題がある使用方法を選択せざるを得ない状況にある。衛生面で問題がある使用方法→何らかの健康上の課題を経験している。生理用品入手困難度=精神的な健康状態に影響している。生理用品入手困難度=社会生活に影響している。生理の経験を持つ大人がいない家庭、女性の保護者がいても相談できる関係にない、ネグレクト、保護者が仕事で忙しく十分に話せないなどの家庭環境問題も明らかになってきた。
若年女性支援の取り組みとして、生理用品の無料配布が広がっている。生理の貧困をきっかけに誰もが生きやすい社会の形成へと展開していく状況が作り出されてきている。
■アンケートから■
・困難を抱える若年女性のイメージがはっきりした。性暴力や若年の妊娠、出産を早期に相談し、周囲の大人が支える仕組みを作る必要があると感じた。
・妊娠SOSに繋がってその後どうなるか、といった普段聞けない話が聞けたのが良かった。明治期になぜ津田梅子ら幼い女の子が留学生に選ばれたのか不思議だったけれど、なるほどと思った。ユニセフの動画も良かった。また、グループワークの際、10代の結婚が9割近く離婚しているとか、保育園の書類を書くのに高卒程度の学力が要るとか、実際の現場支援に携わっている立場からのコメントが参考になった。
■明日からでもできるサポートとは?■
・女性vs.女性のアンコンシャス・バイアスを持っているかもしれないということを自覚しておく。
・ユース世代も含め大人も気楽に話せる「しゃべり場」の開設を考えている。
・男女共同参画社会実現に向けて、政策、ひいては政治に興味を持たなくてはいけないと思った。