【開催報告11/12】2023年度 女性のための支援者養成講座 第3回

配偶者暴力相談支援センターの現場から

  講師:配偶者暴力相談支援センター 統括専門相談員

種の統計からみたDV相談の現状

 統計で見るDV相談は、コロナの影響もあってか、年々増加傾向にあり、中でも6割以上を占める精神的暴力による心の傷のダメージは大きく、苦しくても様々な理由で別れられない人も多くいる。 被害を受けた女性の4割は、どこにも相談していない。被害を受けた人のうち、相手と別れた人は約2割。別れなかった人の理由は「子どもがいるから」「経済的な不安があったから」「子どもをひとり親にしたくなかった」「養育しながら生活していく自信がなかったから」である。



配偶者暴力相談支援センターの役割と相談業務

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等を図るため、相談や適切な相談機関の紹介、カウンセリング、被害者及び同伴者の緊急時の安全確保及び一時保護、自立して生活できるよう各種の情報提供、被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報提供、保護命令制度の利用についての情報提供その他の援助を行う。



●被害者支援における留意点

 支援とは「相談者の抱える問題を整理しながら、辛さの正体を見極め、本人が何を解決したいのか、どこにゴールを持っていくかを意識しながら、その方本来の力を取り戻すための方法を一緒に考えること」である。


●支援者(援助者)に求められるもの

 被害者は特別な人ではない。DVは加害者の責任、加害者の問題である。支援者であることの権力性に常に自覚的であることが大切である。常に相談者のペースで、相談者の価値観・世界観の中で、一緒に考える。見立て・方針が変わることもある。聴き取る力とつなぐ力が必要。つなぐ先・資源が無い場所もある。




アンケートから

・講師の「女性支援は福祉から人権へ」「相談員は自身の生き方や価値観が問われている」という言葉に重みを感じた。大事なことは「自己覚知」であり、目の前の相談者の話を聞いて、自分の反応を意識しながら相手に真摯に向き合うこと、安全を心がけることなど、身の引き締まる思いで拝聴した。

・配暴センターの具体的な支援の内容を伺えたこと、DV支援とは異なる、女性支援についてグループワークし講評を頂いたことで原点に立ち返ることができたように思えた。

・自己覚知のことも含め、プロとして向き合うことの覚悟や、学びを重ねていくことがどれだけ大事かを痛感した。正解は一つではないし、わかった気にならないこと、相談者自身気付いていないことをともに探っていながら、深めていくことの大切さを改めて思った。私は、被害者支援とともに、加害者臨床、更生に向けての取り組みも車の両輪のようにやっていくべきだと考えている。どこで関わるにしても、自分の立場、出来ること、どこと連携すべきかなど包括的な視点で全体を見ていく必要があることを再確認できた。

■明日からでもできるサポートとは?■

・相談には自分の価値観を問われるということを意識していきたい。

・社会的なサポートや相談機関等とのネットワークづくりと、地元にもユースが気軽に集える場安心して話せる居場所のようなものを作りたいなと考えている。

・私の市では、DV被害者を横断的に連携して対応できるような体制や対応マニュアルを持っているが、今後、困難事業や複合的課題の多いケース対応では、重層的支援会議等を活用してチーム的な支援ができるように関わることも必要ではと思っている。(特にR6年度からの困難女性の支援の充実を考えると必要)